おれたちはマフィア?

おれたちはマフィア?

これもトレーニングで3ヶ月間アメリカ、カナダ、メキシコを回ったときのエピソードの一つです。

 

場所はカナダ、トロントのイタリアンレストラン。

 

その日のトレーニングが終わり、世界中から出席している社員たちと連れ立って、食事に出かけました。

 

「申し訳ありません、今、満席です」

 

「満席だってさ、、」

 

「じゃあ ほかを探すか、、」

 

「ちょっと待て」

 

小柄ですが目つきの鋭いイタリア系南アフリカ人が前に進み出ました。

 

「スパゲッティー、マカロニ、カルボナーラ、×○×○」

 

と言ったかどうかわかりませんが、イタリア語で何か言っています。

 

すると、

 

レストランの支配人らしき男の顔に緊張が走りました。

 

「ちょっと待ってください」

 

その男は急ぎ足で奥へ引っ込みました。

 

すぐ戻ってくると、

 

「どうぞ、こちらの席へ」

 

満席だと言っていたのに、ぼくらの席が用意されました。

 

「支配人に何と言ったのだ?」

 

皆がイタリア系南アフリカ人に聞きます。

 

「うっふふふ」

 

イタリア系南アフリカ人は、ニヤニヤ笑って答えません。

 

「おれたちはマフィアだといったんだろう?」

 

「うっふふふ」

 

何も答えません。

 

いや、きっと彼はそのたぐいのことを言ったに違いありません。

 

何しろ満席のレストランにすぐ座ることができたのです。

 

ぼくらのメンバー構成は、そのイタリア系南アフリカ人、二人のアルゼンチン人、金髪のカナダ人、プエルトリコ人、それに二人の日本人。

 

アルゼンチン人はラテン系ですからイタリア人に見えます。

 

プエルトリコ人も白人ですからこれまたイタリア人に見えます。

 

カナダ人は大柄。一見、用心棒風。

 

それに変な東洋人が二人。

 

どう見ても普通のグループではありません。

 

あの支配人のあわてぶりから見て、イタリア系南アフリカ人は、きっと、イタリア人の裏社会独特の脅しのようなことを言ったに違いありません。

 

かわいそうに、レストランの支配人は何度も席に来ては、

 

なにか注文はないか、とか、不満はないかとか愛想を振りまいていました。