番外編

取引先の社長は叔父の親友

学生時代、母方の従兄弟から話を聞いたことがありました。

 

「親父の友達が北海道の大きな会社の社長をしている」

 

と。

 

その後その話はすっかり忘れていました。

 

外資系へ就職して、その後、北海道の取引先へたびたび出かけていきました。

 

その会社には社員達がものすごく怖がっている社長がいました。

 

切れ者という噂で見るからに怖い雰囲気です。

 

社員達は社長と話すときは、皆、緊張で震えるほどです。

 

僕もつられて緊張です。

 

何度目かの訪問かは忘れましたが、
「おや?この名前は僕の田舎に多い名前だ」
と、気づきました。

 

そのときはそれ以上何も考えませんでしたが、
ある日、従兄弟の話を思い出しました。

 

「あの社長は叔父の親友ではないのか?」

 

そこで、その会社の社員に社長はどこの出身か聞くと、
やっぱり僕の田舎の町の出身です。

 

やっぱり、あの社長が僕の叔父の親友ではないのか。

 

その後出身学校等の情報もわかり、
やっぱりあの社長は叔父の親友だ、と確信しました。

 

その後はそのことを誰にも言わずに、自分だけの秘密にしていました。

 

ところが、あるとき、
「あの○○社長がうちの会社に来るみたいだぞ」

 

「えっ!」

 

驚きです。

 

いくら何でも取引先の社長をスカウトするとは!

 

それとも、これぞ外資系だからこそか。

 

それは事実だとわかりました。

 

やがて、その社長は副社長として僕が働く会社hへやってきました。

 

それから数月後、
その副社長の部屋を訪ねました。

 

「お邪魔します。」

 

「どうしましたか?」

 

「ABC部の××です。実は私は△△の甥です」

 

「えっ、△△君の?」

 

「なぜ今まで言わなかったの?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

その副社長が前の会社の社長時代あまりにも社員が怖がっていて、
なぜか名乗り出ることが怖かったのです。

 

それにしても、世間はこんなに狭いのか。

 

本当に驚きです。

 

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世間は狭しー叔父の親友

世間は狭しー兄編