お前、殺されるぞ!
トレーニングでカナダ、アメリカ、メキシコを回った時のことです。
場所はメキシコ北部の都市モントレー。
その日のトレーニングが終わり、世界中から来た同僚達と高級レストランへ夕食に出かけました。
例によって、30〜40分かけて夕食前にはみんなお酒を飲みます。
酒が飲めないぼくとしては、この時間がなんともまどろっこしい。
やっとテーブルにつき注文を済ませたところへ、二人ずれの男がギターを弾きながらテーブルのそばまでやってきました。
メキシコ音楽大好き人間のぼくは早速リクエスト。
チップを渡そうと財布を取り出そうとしたときです。
隣のアルゼンチン野郎がすばやくぼくの手を制して怒鳴りました。
「やめろ!お前、殺されるぞ!」
とっさのことで訳がわからず、むっとして、
「なんだよ!」
「こんなところで財布の中身を見られてみろ、お前は店を出て10メートル歩かないうちに殺されるぞ!」
「だって、ここは高級レストランだろう?」
「ここは高級レストランでも、ここで働いているヤツは高級じゃないぞ!」
納得です。
海外へ何度も出かけているぼくとしては、海外で事件に遭遇する日本人観光客をバカにしていました。
それがです。
場所が高級レストランだということで、ちょっと油断していました。
もしも1人でここに食事をしにきて、良い気になって財布を見せてチップを渡していたなら、アルゼンチン野朗が言うように、店を出て10メートルも歩かないうちに、死体になっていたかもしれません。
油断です。
世界でも有数の強盗発生国メキシコ。
夕食を済ませて、ホテルまでの道をそぞろ歩きをしているとき、そばを歩いている人がすべて強盗じゃないかと疑心暗鬼になったものです。
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