朝からゲーム
入社する前は、社員はみな組織上の上下関係を重んじて、まじめに仕事をしているとばかりと思っていました。
ところが、そうでない人たちがいてびっくり。
「わ〜 お前の勝ちだ!」
「ちくしょう、次だ!」
「さあ、もういっちょういくぞ〜!」
朝の9時過ぎ。
営業部の部屋は大騒ぎです。
なんというゲームがわかりません。
10円玉を壁に向かって投げています。そして、壁に当たると失格。壁に一番近い人が勝ちで、勝てば参加者の10円玉を総取り。
”いったい、この会社どうなっているんだ”
隣は営業部長の部屋です。
きっとこの騒ぎの声は聞こえているはずです。
”今に、部長が怒鳴り込んでくるぞ”
ぼくは固唾をのんでコトの成り行きを、じっと待っていました。
しかし、部長はいっこうに怒鳴り込んでくる来る気配はありません。
出勤してきたとき、部長の部屋の前を通ると確かに部長の電話の声が聞こえていました。
部長は隣の部屋にいるのは確かです。
数週間後、会社の内部事情がすこしわかってきました。
大騒ぎしている営業部員たちは、社歴が古い人たちばかりです。
一方、部長は最近転職してきた新米です。
営業部員たちは、部長など怖くもなんともありません。
逆に、営業部員たちはそのことを誇示するように、朝から大騒ぎしてゲームをやっていたのです。
やがて、毎日同じことをしていても部長は怒鳴り込んでこない、ゲームには飽きてくるで、いつしか事務所の中は静かになっていきました。
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